<フェミニン>の哲学
- 作者: 後藤浩子
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: 単行本
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中絶合法化をめぐる議論――女性の自己決定権の立場からだけでなく、女性をほとんど家畜とみなし群れの健康を守ろうとする国家政策においても、中絶権は合法化される――からはじめて、胎児にとどまらない「自己の中の他者」との共棲関係に進む第9章は圧巻。「<私>と<受精卵>の対立だけが特別視され、そこに国家という仲裁人が介入してくる必要が果たしてあるのだろうか。それは<私>対<大腸菌>の場合と同様に考えられるべきであって、私が大腸菌との関係をどうつけるかを毎度国家に打診する必要はないように、受精卵との関係のつけかたも国家に伺いをたてる必要など本来ないのではないか」(250)。