大山倍達正伝
- 作者: 小島一志,塚本佳子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/07/28
- メディア: 単行本
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書評ではたいがい、いかに「伝説」が嘘の上に嘘を重ねて作られたか、「牛との格闘」もアメリカ遠征もそんな華々しいものではなかった、というとこが強調されてるようだが、同時にその嘘を隠し通そうともしていない大山のあっけらかんとした感じも印象的。力道山がとにかく自分が朝鮮人であることをひたかくしにして、友人の焼肉屋にすら深夜にしか行かなかったくらいなのに、大山は稽古の後にはキムチ鍋を弟子にふるまい、すでに1954、55年頃の『オール讀物』や『丸』で、自分の出自を明かしている。メディア・スターとして不特定多数の観客を相手にしていた力道山と、目の前の弟子たちをおもに相手にしていた大山ではそりゃあ態度も違ってくるだろうが、大山のなんとなくのほほんとした愛嬌がよく出ていると思う。