1年ゼミ、「モダン・タイムス」続き。文学理論、バルトの「白いエクリチュール」と『アンナ・マグダレーナ・バッハの年代記』。会議、会議、会議。
お目当てはジャック・ノワレ「機械のイマージュと神話」、
金森修「仮想の遺伝学」。前者はとくに『労働』について、
人間機械をコン
トロールする装置としての労働を讃える
ユートピア性を扱ったところが印象的。後者は、「ルーゴン・マッカール叢書」のなかで、一見すると両親や祖父母の影響をほとんど受けていないかに見える
パスカルというキャ
ラクターに注目している。とくに『
パスカル博士』の第二章、細胞が体内で
自然淘汰を繰り広げる学説が言及されるところから、遺伝学と進化論という相反するといえば相反する議論――前者は種の性質を保存し、後者は変異させる――との錯綜をすくい出すあたりがさすが。ゾラの遺伝学が、いかに雑駁に(現在からみると非科学的なものも含めて)多様なものを飲み込んでいるかがわかる。これ以外では、アンリ・ミットラン「
自然主義とモダン・スタイル」の、ほとんどロマンティックな美文に唸った。