愛と暴力の現代思想
ちょっとした検査の結果を受け取りに荻窪病院へ。二時間半待ち。待合室のお年寄りたちは、なにをするでもなくただただ静かに待っている。病院というのは、なにもしないという規律へ、つまり死へ、人を訓練するものだと思う。検査結果は大きな問題なしでした。非常勤先で特殊講義。
- 作者: 矢部史郎,山の手緑
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: 単行本
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なかではとくに二本目、「プーさんとドキュン」が、夢の安売りと消費の怖さを語って怖い。そう、プーとは(ぬいぐるみなので)痛みを感じずにいくらでも身体が破壊される、凄惨な世界なのだが、みんなそれに慣らされてしまう。「文化商品を消費することで、性差とか経済力とか出自とかということから解放されるんではなくて、逆にそうした格差を思い知らされるわけですよ。……消費が労働なんですよ。特に女子は。消費自体は拒否しないしむしろ積極的に受容するんだけども、消費を拒否したらもうあとがないから」(p.28-29)。
最近コンビを組まずにばらばらに書く文章が増えてる二人だが、ここに収録されたものを読むと、別々に書いたものでもドライヴ感は落ちてない。嬉しい。