80・90年代日本映画ベスト50

庭師さんから回ってきたバトンをやってみるが、みるとかなり優等生的。これに「蒲田行進曲」「ナウシカ」あたりが入れば、ほぼまちがいないリストになる。つまりはあまり本数を見ていないのである。いちばん邦画を真面目に見ていた80年代後半のが多くなるのはしかたがない。1980年はほんとは80年代じゃないはずだが、まあよしとして。
ツィゴイネルワイゼン鈴木清順、1980) トンネルが怖かった。
ヒポクラテスたち(大森一樹、1980) すばらしき自転車映画。
嗚呼!おんなたち猥歌(神代辰巳、1981) 内田裕也がいくつかレイプをする。
近頃なぜかチャールストン岡本喜八、1981) カラーで撮ったほうが良かったんじゃないかと思うときがある。最後の戦後映画。
水のないプール(若松孝二、1982) 内田裕也が若干レイプをする。
ダイアモンドは傷つかない藤田敏八、1982) 山崎勉のダメ中年ぶりがうらやましい。
さらば愛しき大地柳町光男、1982) 秋吉久美子が歌う「ひとり上手」が激ヘタ。むしろ嫌いといっていい映画だが、忘れられない。
家族ゲーム森田芳光、1983) 邦画の80年代はここから始まった。
十階のモスキート(崔洋一、1983) 内田裕也がたくさんレイプをする。
天城越え三村晴彦、1983) スローモーションは好まないが、この田中裕子なら許す。
ロケーション(森崎東1984) 西田敏行キャメラマンが両足をかちんと合わせてキューを出す。
Wの悲劇(澤井信一郎1984) 居酒屋で揺れ動いて薬師丸ひろ子世良公則に近づいてゆくカメラのすばらしさ。
うる星やつら2・ビューティフル・ドリーマー押井守1984) 世界は亀の背中に乗っていることを知った。
台風クラブ相米慎二、1985) ただいま、おかえりなさい、ただいま、おかえりなさい。
早春物語(澤井信一郎、1985) 仙元誠三カメラマンの最高傑作。べつに原田知世が好きなわけではない。
恋文(神代辰巳、1985)神代映画でこれがいちばん好きだというあたりにわたしの好みが……。
カポネ大いに泣く鈴木清順、1985) 田中裕子がなんで目玉舐めてたのか忘れた。たぶん脈絡がない。
ビリイ★ザ★キッドの新しい夜明け(山川直人、1986) 80年代の最悪さを代表する映画。こんなものが商売になってたことが感慨深い。
ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌(那須博之、1986) このシリーズでいちばん物理的に痛い。指は折れるし。
天空の城ラピュタ宮崎駿、1986) 『わが谷は緑なりき』と『静かなる男』とともに。
ア・ホーマンス松田優作、1986) 松田優作が大変に強い。新宿の裏路地を走るカメラが投げやりでよい。
螢川(須川栄三、1987) 雪がきれいに積もる。いま「螢」という字を出そうとして虫へんの字をずーっと見ていたら気分が悪くなった。
王立宇宙軍オネアミスの翼(山賀浩之、1987) 公開時にあたらなかったのはしょうがない。つくづくわたしは異世界リアリズムに弱い。アニメへの影響力は後から効いてきている。
黒いドレスの女(崔洋一、1987) カーチェイスがけっこうちゃんとしている。べつに原田知世が好きなわけではない。
1000年刻みの日時計・牧野村物語(小川神介、1987) こちらは田村正毅カメラマンの最高作。
ゆきゆきて、神軍原一男、1987) この監督には近づきたくない。
異人たちとの夏大林宣彦、1988) 黄色いフィルターも、大林なら辛うじて許す。
花園の迷宮(伊藤俊也、1988) この時期伊藤俊也は地味にいい映画が何本かある。
となりのトトロ宮崎駿、1988) ジブリ美術館には行ったことがない。大人は猫バスに乗せてくれないらしいから。
誘惑者(長崎俊一、1989) 窓から見える字の欠けたネオンが点滅していたと思う。
ファンシイダンス(周防正行、1989) 周防映画ではこれがいまでもいちばん好きだ。基本的に、止まった絵を見事に撮る監督だと思う。
キスより簡単(若松孝二、1989) べつに入れなくてもいいが、原田芳雄から一本。
座頭市勝新太郎、1989) 撮る人が撮ればスタジオシステムは蘇ることを証明した。
てなもんやコネクション(山本政志、1990) 近藤等則が一語ごとにfuckin' をつけて喋るのを、しばらく真似した。すべての道はアジアに通ず。
バタアシ金魚(松岡錠二、1991) 筒井道隆、あんなにアホ顔がすてきなのに、いつから二枚目になってしまったのか。
ふたり(大林宣彦、1991) 石田ひかりの書斎、真横からのショットがかわいい。
夢二(鈴木清順、1991) 牛の骨がどこに映ってたか忘れた。
阿賀に生きる(佐藤真、1992) 新潟弁には字幕が必要なことを知った。
いつかギラギラする日深作欣二、1992) 奥山和由、よくやった。もうかっこいいショーケンは見られないのかなあ。
死んでもいい(石井隆、1992) 材木置き場がすばらしい。あとレイプシーンの雨。
お引越し(相米慎二、1993) これと相米の死で80年代映画が終わった気がする。
ガメラ 大怪獣空中決戦(金子修介、1995) 平成ガメラというよりは、金子修介から一本という意味で。
EAST MEETS WEST(岡本喜八、1995) 奥山和由、よくやった。日本は映画先進国の一つだったがゆえに、ジョン・ウーアン・リーも生むことがなかったという世代問題に気がつく。
ビリケン(阪本順冶、1996) 神様も大変だ。90年代の邦画にはまとまった時代論的印象がなく、黒沢清と阪本順冶が個別にいただけという感じがある。
萌の朱雀河瀬直美、1997) 歩く速度が一定の映画。
生きない(清水浩、1998) どのたけし映画よりもこれが好き。
クルシメさん(井口昇、1998) このとき唯野未歩子は携帯を持ってなかった。いま思うと驚き。
大いなる幻影黒沢清、1999) 時間が止まって、固まって、気がついた頃に動き出してまた止まる。
回路(黒沢清、2000) 真の傑作だが、東宝の全国公開は無理だと思った。案の定こけた。
バトル・ロワイアル深作欣二、2000) 出ている人がみんな出世した。