Humanism and Democratic Criticism
Humanism and Democratic Criticism
- 作者: E. Said
- 出版社/メーカー: Palgrave Macmillan
- 発売日: 2004/09/14
- メディア: ペーパーバック
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わたしはサイードの良い読者ではない。もちろん文学理論の授業では『オリエンタリズム』とステレオタイプ論をとりあげるし、パレスチナについては彼から多くを学んだ。院生の頃には『世界、テクスト、批評家』のいくつかの章を読んで positionality というものを意識するようになった。ただ、どの本も読み返したことはあまりないし、どの問題にせよ、サイードからでなければ学べなかったことなのかといったら、全然そうじゃない。彼が与えるのは、個別の情報とかアイデアというよりは、そうしたアイデアを基盤にしたパフォーマンス――これみよがしのウケ狙いではなく、あくまで古典的文人のそれ――だからだ。(手元にあるサイードの著書を今回いくつか再読したが、書き込みとか、ページの端を折った跡がほとんどない。彼のエッセイは、知識を拾うためにではなく、全体として読まれ感じられるように書かれているということだと思う。)
あるいはそれが彼のいう「知識人」の様態なのかもしれない。サイードはこの本でも一貫して、アメリカの学問業界の専門分化を批判している。専門家が、素人の介入を遮断するために語るのだとすれば、知識人はあくまで市民として、ある意味当然誰もがわかっている立場から語る。そうした立場から声を届かせることができるのが真の知識人なのだし、それはなろうとしてなれるものでもない。"...humanists wituout an exfoliating, elaborating, demystifying general humaneness are, as the phrase has it, sounding brass and tinkling cymbals." しかしこの exfoliating, elaborating humaneness って、どう訳したらいいものやら。いま見たら「内側からめくれてくる、精巧にものを作るための、脱神話化をおこなうための一般的人情」と訳してあるが、もう少しましにならないか。
追記 それより先にタイトルを考えなければいけなかった。『人文学と民主的批評』というのもどうもぱっとしない。誰かなんか考えてほしいです。