ロンドン 食の歴史物語

犬が初めて階段を上る。

ロンドン 食の歴史物語―中世から現代までの英国料理

ロンドン 食の歴史物語―中世から現代までの英国料理

軽い本。チョーサーからアミタヴ・ゴーシュまで、作家の実生活と作品を絡めた食の英文学史だが、英国でなくあくまで「ロンドン」であるところがミソで、流通経路、市場への出回り方などが割に詳しい。初期近代の庶民のほうが、十八世紀末以降の労働者よりましなものを食ってたというのは通説だが、その実態が見てとれる。肉食禁止日がある程度厳格に保たれていた中世では、イルカがかなり食べられていることを知る。個人的には、サヴォイやリフォーム・クラブ、カフェ・ロワイヤル、フロレンスといった具体的な店のメニューがうかがえるワイルドの章がいちばん興味深かった。