エムズワース卿の受難録

今年のCALL英語の講師用マニュアルその他を担当学科用に調整、ぎりぎり。翻訳、いつまでも終わらない。

エムズワース卿の受難録 (P・G・ウッドハウス選集 2)

ご恵贈ありがとうございます。犬の相手をしながら読むのが格別。だいたいロード・エムズワース自身が、愚鈍な老ラブラドールみたいだし、次男のフレディは、ニューヨークのドナルドソンズ・ドッグ・ビスケット社の社長令嬢と結婚して、いまやドッグフードの豪腕セールスマン。集中随一の、というよりスラップスティック文学史上屈指の明朗な狂気の傑作である番外編「天翔けるフレッド叔父さん」では、フレッド叔父さんことイッケナム伯が、「田舎住まいだが、時々首環から抜け出して走り回る」人だとされている。（イッケナム伯の問題解決能力はジーヴズに匹敵するが、ジーヴズと違って法を破りまくる。）「あくなき挑戦者」の、雑種の美犬ボトルズと、お邸の犬軍団との対決もたいへんにすばらしい。犬のケンカを止める能力こそ、ウッドハウスの世界では最大のセックス・アピールである。

Lord Emsworth Acts for the Best: The Blandings Short Stories (Penguin Modern Classics)