誤読される Thackeray

ヴィクトリア朝研究会@吉祥寺、出席者11名。Uさん「誤読されるサッカリー」。日本でのサッカリー論、紹介の誤りをねちっこく指摘する。『リーダーズ・プラス』の The Rose and the Ring の項のあらすじがまちがっているとか、Barry Lyndon の項は、アイルランド人のリンドンがスコットランド人と表記されているとか。あとは某論集の『ヴァニティ・フェア』論がストーリー理解のレベルでいいかげんであるとか、某学会誌の The Newcomes 論の決めの部分が無理読みっぽいとか。ものすごく面白かったが、あまりブログで細かく書けるネタではなし。
Trollope, He Knew He Was Right 読書会。口切り役はKさん。イタリアでトレヴェリアンが隠棲する山小屋のピクチャレスクぶりなどが話題になるが、後はだいたい与太話。トロロープを読むと、みんな反応が昼メロレベルになる。こいつの行動は納得いくとかいかないとか、いやああいう男っているよとか、この夫婦どっちの味方しますか、とか。
Judith Flanders, Inside the Victorian Home のMさんによる解題。一般読者向きのリーダブルな本で、翻訳されればメイドオタに大うけするのは必定。少し厚すぎるか。『下水いらずのクレソン育て』とか『200ポンドでできる家庭の切り盛り』とか、参考文献リストを見ているだけでも楽しい。乗合馬車がチケット制で値段が固定されてからは、たくさん客を乗せても御者個人の儲けにならないので、停留所でしか止まってくれなくなったとか、家具を揃えるなら年収以上かかるとか、赤ん坊に贈るピンクッションは実際には使われないとか、その手の小ネタがいっぱい。

Inside the Victorian Home: A Portrait of Domestic Life in Victorian England

Inside the Victorian Home: A Portrait of Domestic Life in Victorian England

吉祥菜館、SCREW DRIVER であれこれ。この会、日本英文学会関東支部の協賛ワークショップというかたちにするという案もあるのだが、そうすると告知も公開、基本的にはオープン参加になるので、かえって窮屈なところも出てくるかも、あまり他人の悪口は言えなくなるかなあ、など。