ミュンヘン

ミュンヘン』@渋谷シネパレス(木曜はメンズデー、男性は1000円でございます)。もう二十年くらい前に、たしか畑中佳樹斎藤英治が、スピルバーグは映画を撮る楽しさしか知らない、映画を撮る苦しさを知ったら巨匠になる、と言ってたのを思い出した。シークエンスごとに作りたい映像を作るという点では(笑いをとることを別にすれば)スピルバーグとドリームワークスはほとんど全能で、とても「苦しさ」を発見したとは思えないが、だからこそここまで内容的に「苦しい」テーマを選びとってきたのかな、とも思う。
ミシェル・ロンズデールの顔を見るのは久しぶり。あんなごつい髯面なのに、『夜霧の恋人たち』『パリの灯は遠く』『薔薇の名前』と、女房の浮気や友人の死や自分の職場での不祥事をただただ手をこまねいて見ているだけ、という印象が強いのだが、ここでは自分ではチーズやソーセージを切るだけで、人間を切るのは全部他人にやらせて、いい味を出している。