Risk and Inevitability

紀要論文の校正。やはり慌てていたらしく、同じ注を二回つけたりしている。PCファイルのほうも直しておかないと……。Said, Humanism and Democratic Criticism (Columbia Themes in Philosophy) 翻訳、とりあえず最後までいく。Mさん、Sさん、遅れてすみません。これから直しにまだまだ時間がかかるはず。
Tina Young Choi, "Writing the Victorian City: Discourses of Risk, Connection, and Inevitability" Victorian Studies 43-4 (Summer 2001): 561-590。ヘクター・ギャヴィンその他、十九世紀なかばの公衆衛生論における統計の意味作用を論じたもの。タイトルからわかるように、伝染病はあらゆる層、あらゆる地域を襲い「結びつける」。そして肝心なのは、統計によって全体の死亡率はわかっても、それがある特定の人間(つまり自分)の身に起こるかどうかは、まったく不確定であるという意識だという。リスクは、なんらかのコントロールができるものとしてではなく、統計的な透明性、あらゆるものを結びつけて平均値を出す志向と、独立した個人の運命の不確実性とのあいだの緊張関係のなかに見いだされる……というのだが、博論の一部であることもあって、これだけだと喰い足りないというか、とくにこの時代の言説の特殊性が浮かび上がってこない感じがある。わたしとはすごく関心が近い(彼女の指導教官はキャシー・ギャラガー)人だし、がんばって本にまとめて欲しいんだけどな。彼女の Our Mutual Friend 論は、http://humwww.ucsc.edu/dickens/OMF/choi.html で読めます。