輝く断片

会議、会議。この数ヶ月の作業を無化するような方針が。わたしとしてはそっちのほうに賛成ではあるのですが。

輝く断片 (奇想コレクション)

輝く断片 (奇想コレクション)

異常者ないし殺人者の側から書かれたミステリ?四編が後半に、もっとSF的な軽めのもの四編が前半におかれている。SF系のものは、編者もいうとおり、ものすごく投げやりに「このへんで宇宙人出しとけばSF誌に載せられるだろ」みたいなノリで、それがまた魅力だが、お奨めは後半。醜顔のMCが、美形でクールで仕事熱心なバンマスを、何度も何度もくりかえし殺し続ける「マエストロを殺せ」は、最高の音楽小説。ニュース中毒の男が、妻にラジオを壊された後を描く「ニュースの時間です」で、男が作りだす「具象的な」引きこもり世界も印象的。
台所スポンジだのエナメル・テーブルだのサルファ軟膏だのといった小物を、徹底してリアリスティックに書きこむことで、狂気というか妄執の世界が広がるのは、表題作も同じ。ふつうは知的障害者といわれる人、つまり自分では自分の行動をありきたりのことばで説明することがない人――「人間以上」の人間たち――に寄り添って、誰も見たことがないことばを紡ぎだすスタージョンは、やっぱり凄すぎる。