melancholy and superego
The Freudian Body: Psychoanalysis and Art
- 作者: Leo Bersani
- 出版社/メーカー: Columbia Univ Pr
- 発売日: 1986/10/15
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログ (2件) を見る
ただ、やっぱり著者のジェンダーによる違いで、ベルサーニの場合、この「喪われた対象」のとりこみは、はっきりと超自我の形成であると述べられている。つまり男の子が「父」を自らの中にとりこむというシナリオだ。レズビアン女性がこういう風に語るとは思えない。The Psychic Life of Power: Theories in Subjection の議論は、超自我への屈服はそれ自体マゾヒスト的快楽である、というベルサーニ的方向で組み立てられてるのはまちがいないのだが、その「超自我」は「父」というジェンダーを与えられてはいなかった、ような気がする。……男であれ女であれ、同性のモデルが「超自我」であるという図式なのだろうか。たぶん、たんに超自我を男性として語ることをバトラーが慎重に避けている、というだけなのだろう。逆にベルサーニは、男性同性愛の欲望は、権力をもった「父」への欲望と不可分である、とあっさり認めるだろうと思う。