Society of Enjoyment

下高井戸の古本、古CD、古LP、古ビデオ屋、itrasmund の店内をじっくり見たあげく、Go Go! 7188 の 3rd アルバムだけ買うという無意味なことをやる。『徳川いれずみ師責め地獄』のビデオとか必要なときは、ここで3800円で売っている可能性が高いことはわかった。

The End of Dissatisfaction: Jacques Lacan and the Emerging Society of Enjoyment (Sychoanalysis and Culture)

The End of Dissatisfaction: Jacques Lacan and the Emerging Society of Enjoyment (Sychoanalysis and Culture)

拾い読み。現代社会が「禁止の社会」から「享楽の社会」へと移行し、誰もが強制的に享楽しなければならない(かといって実際に享楽を感じているとは限らない)社会になっている、という大枠で、さまざまな映画、小説、社会事象を自由に論じている。というと、これ読まなくてもジジェクを読んでたほうがいいんじゃないか、という声が聞こえてくるが、ジジェクよりも枠組みがぶれないで明晰。ドクトロウ『ワールズ・フェア』を、(ラディカルな政治性へと向かう)欲望を否定した「成熟」へと向かうアメリカ社会を描いた小説と論じるところとか、『テルマ&ルイーズ』のラストシーンを、欲望を圧殺する冷静な「距離」を否定するためのひたすらなスピードアップと見るところとか、面白かった。もっとも大きくとりあげられているのはトニ・モリソン『パラダイス』だが、こちらが未読なのでノーコメント。