杉本博司

杉本博司展・時間の終わり@森美術館http://www.mori.art.museum/contents/sugimoto/。カタログを先に見てから行ったのだが、実際に大判で見てみてカタログより全然面白いのは、スミソニアン博物館のイヌワシだのシロクマだののジオラマを撮ったシリーズ。「ジオラマは実際に見ると嘘臭いのに、写真にとると遠近感が消失してリアルになる」というキャプションがついているが、この感覚は大判で見ないと意味がない。いっぽう名高い海の写真は、暗い室内に白い空がきれいにぴかっと光っていて美しいが、もっとそっけなく薄暗い部屋に置いたものも見てみたかった。言うのも恥ずかしいけど、いちばん好きなのは、空が暗く、海とほとんど区別がつかなくなった最後の数枚。理由は晩年のロスコそっくりだから。ああ恥ずかしい。コルビュジェやライトの建築をぼけぼけで撮ったシリーズは、キャプションにはなにやらもっと抽象的なことが書いてあるが、本人はインタヴュー・ヴィデオでは「実際に行ってみると旧くて傷んでるのね。だからぼかして皺をとったよ」と軽く言っている。このインタヴューで彼が言っていること、いずれもアイデアのシンプルさがすばらしい。
ヴィヴィアン・ウェストウッド展@森アーツセンターギャラリーhttp://www.roppongihills.com/jp/events/vivienne-westwood.htmlマクラーレンがえらい大量の字を書き殴った初期のバナーに、クルークシャンクによる『オリヴァー・トゥイスト』の絵が使われている。古着の重ね着ってのは、ヴィクトリア朝の貧乏人のスタイルだよな。