Disgrace

文学理論、ジョナサン・カラー『ディコンストラクション (1) (岩波現代選書 (105))』をコピーしてデリダの話。息が続かない。
動物文学ゼミ、Disgrace いちおう了。今回授業でやや丁寧に読んでみたが、一人の教養人が「剥き出しの生」へと直面していくこの物語において、女性性の扱いというのがうまく捉えられない。学生からは「この主人公は、女をセックスのはけ口としか思ってない奴だったが、その点では変わっていない」といった声も出る。わたしからみると、主人公自身には恋愛をもっとロマンティックな情念として見る傾向があって、しかしそうした「文学的」な観念は物語が進むにつれて頼れないものになっていく、という展開に思えるのだが、女子学生の大部分は、そもそも小説の発端になっている主人公と若い学生との情事を「恋愛」とはみなさないので、話がずれてくる。たしかにこの主人公はある意味鼻持ちならない男で、感情移入しづらいといえばしづらい。学生にとっては、よく理解できない人間の視点から書かれたものになるわけで、そうすると彼が体現する「西洋的文化」と、それと対立する、というか彼が対立していると思っている、剥き出しの生との対比自体が、いま一つピンとこないかもしれない。こちらもうまく解説できたという気はしない。

Disgrace

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ゼミ、新田啓子「遠いものを愛すること」(『現代思想』2005年9月号)。