『ワイルド・アット・ハート』日本版DVDは紛い物です

研究費の計算。どうやら一銭も余ってない。
京大図書館の雑誌バックナンバーが、丸ごと桂キャンパスに移転し、しかも閲覧を電子コピーに限定する!計画が進んでいるのだという。反対署名はこちらをどうぞ。
もともと英文学者だが、最近授業ではおもに映画を教えているYさんから、無理を言って授業資料を頂き、圧倒される。毎回少なくとも五本、ときには十本以上の映画のさわり、資料はPDFカラーで20から60ページ。一学期でじゃないですよ、一回の授業です。基礎知識から個々のショット分析、文献紹介まで、いやとにかくこの授業をとる学生さんは幸せだよ。これだけの授業をできる日がはたして自分にくるのだろうか。自分で買う本とDVD、職場のAV資料室に買ってもらうものをリストアップしているうちに夜中に。
Yさんの授業でことにすばらしいと思うのは、DVDでもビデオでも、学生が実際に古典に接するときのソフトについて真剣に評している点だ。常識なのかもしれないが、なかでも衝撃的事実。日本版DVDのなかには、ヨーロッパ版、つまりPAL変換のマスターテープを使っているものが多数ある。この結果どうなるか。通常の変換システムでは、NTSC1秒25コマ分の情報に、PALの24コマ分の情報が入り、残りの1コマは「前倒し」になる。特別に調整しない限り、およそ4%は「早送り」になるのだ。たとえば『黒い罠』のオリジナル上映時間は111分。これに対して日本版DVDの上映時間は106分。どこがカットされているわけでもない。ただ少しずつ動きが早く、音が高くなっている「だけ」――要するに詐欺であり、映画に対する冒涜である。Yさんによれば、同様の例は枚挙にいとまがない。『夏の嵐』『コーラスライン』『アメリカン・ビューティー』『レポマン』『ゾンビ伝説』『我輩はカモである』『チャプリン DVD BOX』『三人の名付親』『X-MEN 2』、そして『ワイルド・アット・ハート』……。こっちの問題もまじめに署名運動でも始めるべきかもしれないな。