サリヴァンの旅

英語、書類。指定校推薦枠の見直しが課題で、見直しというのは取りやめも含むわけで、もちろん高校側はそれは嫌なわけでうにゃうにゃ。会議、会議。
Kathleen Moran and Michael Rogin, ""What's the Matter with Capra?": Sullivan's Travels and the Popular Front," Representations 71 (Summer 2000): 106-134。2001年秋に亡くなったバークレーの良心というかバークレー的リベラルの体現者、マイケル・ロギンの晩年の共論文。映画研究は三十年代の政治性をあまり視野に入れてこなかった――伝統的歴史家はルーズヴェルトの時代と見てきた時代を、文化史家はミッキー・マウスの時代と見ている――という問題提起から始まっている。映画史学の蓄積についてはよく知らないが、言いすぎのような気も。後半は正攻法の作品論。『サリヴァンの旅 [DVD]』――わたしのもっとも愛する映画の一つです――は、人民戦線的ドキュメンタリー風映画とディズニー喜劇を対比させて、後者を讃える、という筋書きになっているが、べつに非政治性に閉じこもっているわけではない。画面に映る季節労働者の姿や黒人教会は、現実社会への批判性を帯びているし、なによりメタ映画という形式そのものが映画自体の政治性を浮かび上がらす。最後の笑う観客たちの映像は、むしろヒステリカルなものにすら見えるのだ。自分の政治姿勢を一切明らかにせず、ルーズヴェルトへの評価も口にしなかったプレストン・スタージェスの映画のほうが、はっきり人民戦線的なフランク・キャプラよりも、いっそうラディカルだった……。なんか久しぶりに直球の論文を読んだ。