このシリーズのなかでも、『ふたりジャネット』と並んでいちばん好きかも。「パシャ
ルーニー大尉」とか「眺めのいい静かな部屋」は、メインア
イデアは初期の
星新一か
スレッサーといった感じのシンプルなものなのだが、そこに厚みをつける凡庸な人々の会話がすばらしい。「眺めの……」でも「ゴーレム」でも、身の回りの瑣末事にしか関心がない老人たちのやりとりが、とても微細でリアルだ。「ナイルの水源」も、この奇想自体は思いついても、それを説得力をもって書くには、ありそうでまだないファッション・モードを具体的にリアルに描写できないといけないわけで、それができるのがデイヴィッドスン。かと思うと「尾をつながれた王族」みたいな、完全にわけのわからん(褒めています)ものも入っている。いちばんの好みは「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」。凡庸な男の前に突如中国人?が現れて、驚異的な工芸品の数々を伝説とともに語りだす、というと、
ブラッドベリがもっとセンチメンタルに書きそうなテーマだが、それをさりげなく、低次リアリズムというか、庶民の世界に嵌め込んでいる。
ミクシィの「映画なんでもベスト10」コミュの「動物もの」に触発されて、今日はまず豚・猪のベスト10。
『存在の耐えられない軽さ』
『
もののけ姫』
『豚小屋』
『ピーター・ラビット・ザ・バレー』
『
ハンニバル』
『ベイブ』
『デビル・スピーク』
『
千と千尋の神隠し』
『豚と軍艦』
『
ポランスキーの
マクベス』
『
マクベス』は豚、ちょっとしか出ないけどね……