Take me to where I don't belong

英語、中間試験。会議、会議、会議、会議。会議で九時過ぎになるのは久しぶりだ。
『英語青年』12月号に、近藤弘幸氏による『(見えない)欲望へ向けて―クィア批評との対話』の書評が載る。基本的に好意的な書評で、ありがたい。ただ、あとがきでわたしがゲイ・アイデンティティをもっていないとカミング・アウトしていることに驚いたと、違和感を表明している。こういう意見が出てくること自体は当然予想していた。近藤さんは、クィア批評に、カミングアウトのメカニズム自体を批判する力を見いだしたいのだろうし、そういう志向はよくわかる。ただわたしの本は基本的に、アイデンティティはそうは言っても消去できないし、だからカミング・アウトの問題系も消えることはないという立場で書かれているので、「本文はいいけどあとがきはおかしい」というのは、ちょっと違うかな、と思う。そんなに本文での俺の立場、わかりにくいかなあ。
DVD『エターナル・サンシャイン』。ゴンドリー&カウフマンの他の作品と同様、この脚本ならもっとクラシカルな演出でみたいと思うが、それでも楽しむ。記憶が消されるのに抗って、「本来その人がそこにいないはずの記憶」たとえば子ども時代の記憶にその人を逃げ込ませる、というアイデアがとくに美しい。こういうことができるから、記憶は消去できない。記憶の断片は、「現実」の経験が属していた時間とは無関係に結びつくし、そこではあらゆるものが過去でありかつ現在なのだから。