グロテスク

AO入試面接。毎度のことだが、「個性的」なら「学力」は重視しなくていいか、英文科なら「語学力」があれば「思考力」は重視しなくていいか、といったあたりでみんな考えこむ。比喩でなく頭痛。

グロテスク

グロテスク

なぜ頭痛のときにこういう本を手にとってしまうのか謎だが、読んでよかった。女三人、男一人の手記の連続で、全員がなんらかの意味で精神を失調している。例によって階級小説であり、某一流大学付属高校の陰湿さがねちねちと描かれる。高校時代に輝いていたミツルのその後の運命のつけかたには、唸った。たしかにこれ以外はありえない。
東電OL事件から、まだ8年しかたってないのか。事件自体がどれほどスキャンダラスでも、彼女をああした生活に導いた衝動自体は、ごくあたりまえに同年代の女が経験するものだろう。猟奇的な事件には「心の闇」などということばが使われるが、東電OL事件に闇などない。彼女は徹底して平凡な存在だ。あまりに平凡であることは、それ自体が狂気であり、「怪物的な美貌」をもつユリコよりも、よほど怪物なのである。