記憶の食卓

英語中間試験のとりまとめと印刷。江戸川乱歩研究者である同僚のH先生から挑戦状が届く。忘年会の場所が暗号で書かれていて、解かないと酒にたどりつけないのだ。もちろん職場全員宛のメールだが、鍵が上田敏訳ブラウニングときては、これはわたし個人に向けた挑戦も同然、と勝手に闘志を燃やすものの、全然解けない。

記憶の食卓

記憶の食卓

牧野修が食い物の話を書くというんだから、さぞかしなんだか得体の知れないぬらぬらとした食材が蠱惑的なまでに喉の奥にむりやり突っ込まれるかと思ったら、あなた、チャーハンとウィンナーですよ、それに社食とコンビニ総ざらえ満漢全席。牧野はそんなもの書くな、ふだんの飯がまずくなる!。この著者の最高作だとは思わないし、もう少し膨らませる(被害者個々のチャーハン以外の記憶のドラマをもっと書くとか)こともできたと思うが、キリスト教の古典的テーマを疎外感と絡める腕はさすが。