ベッカムに恋して

文学理論、『テヅカ・イズ・デッド』と系譜学的議論のありかた、『お早う』とコミュニケーションのメタメッセージ性。動物文学ゼミ、丹治愛「『ドクター・モローの島』と生体解剖」(『英語青年』2003年〜2004年連載)冒頭。ゼミ、赤狩りについて。
卒論ゼミ、Uさんの『ベッカムに恋して』。これは学部卒論レベルのカルスタ風演習には最高の素材だとよくわかる。文学系のカルスタ紛いだと、なにか作品として過剰な、時代の標準的イデオロギーから突出した要素を探したがる傾向があって、この映画はそういう意味では全然ダメなんだけど、だから卒論の題材としてはいかん、というのは表象研究者のバイアスだと思う。以前キャシー・ギャラガーは、雑談していて、自分が教えるなかでジェイン・オースティンをいちばん自分のこととして理解できるのは、中国(系)の学生だといっていた。「家vs自立」「立派な妻の座vs非ジェンダー特定的人生」というドラマをいちばん動かせるのは、いまはアジア(系移民)の世界なのだ、と。マキシン・ホン・キングストンの小説などもそうだと思うが、いまや十八、十九世紀イギリス型の「古典的物語」は、アジア系の家父長制の世界にのみ存在しているのかもしれない。
千葉マリーンズ、初優勝おめでとうございます。