恋する幼虫

週末のパネルの原稿。パネルとしてはこれでもなんとかなりそうだけど、活字論文に発展しそうな感じがまったくない。いちばんのポイントは、自然史博物館移転に関してのハックスレーとオーウェンの論争だが、これはニコラス・ラプキが徹底してやっていて、付け足す余地がまったくないのだ。なんか使い道ないかなあ、とさもしいことを考える。

恋する幼虫 [DVD]

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ふだんブラウン管で見た最近の映画については書かないのだが、これくらいは。DVDには井口監督と田中康治(製作担当、唯野未歩子の恋人役で出演も)のコメンタリーがついていて、面白すぎ。井口のフェティッシュなこだわりぶりがよくわかる。撮影期間6ヶ月、日数16日というのも凄いが、松尾スズキの出演承諾がとれたのが撮影一週間前とか、金がなくなってロケ車の駐車場代が払えなくなって頭を抱えて下を見たら一万円札拾ったとか、夜中に昼のシーンを撮らざるをえなくって車中で撮ったとか、素敵すぎる。村杉蝉之介は「土下座させたら日本一」だそうです。アップが基本の映画だが、わたしがいちばん好きなのはコートを着てプラットフォームに立つ新井亜樹の遠目のショット。それから、ここはみんな言うところだろうけど、荒川良々を訪ねてきて、えらい澄んだ目で「いろいろ考えたんです。これから会ってもらえませんか」と言い出す乾貴美子とのやりとりを、二段ベッドの上で聞いている新井亜樹が、悪意いっぱいにくすくす笑うところ。純愛映画なのに、他人の恋愛を平気で笑うってのはひどすぎます。