Farquhar

スチュアート朝研究会@成蹊。George Farquhar, The Recruiting Officer (1706)+ The Baux Strategem (1707)。発表はMさんとKさん。話題提供者にSさんとIさん。The Recruiting Officer は、定職のない奴ならどんどん徴兵しろという法改正にともなう劇。スペイン継承戦争(1701-14)当時、銃の実用化が、戦争のありかたを一変させたという話になる。それまでは剣の技量がものをいう世界だったのだが、銃によってより「民主的な」、つまり経験の浅い兵隊でも戦力にカウントされる時代がやってくる。密集方形陣形に替わって、長方形で整然とした列の射撃隊(第一列の仕事は撃つことと撃たれて死ぬことだ)が基本となる(『バリー・リンドン』『パトリオット』の戦争シーン)。これによって決闘も様変わりする。それまでだったら喜劇ではただ笑いものになるだけということが多かった田舎者も、職業軍人に決闘を挑むことができるようになったのだ。 The Recruiting Officer の Lord Foppington が舞台でかぶった鬘は大人気で、それを注文してかぶって悦に入る本物の貴族がいたという。「生まれ」ではなく「人品」を重視すべきだという議論が強くなる時代だが、それは同時に「人品があるらしく見える見た目」が重視される時代でもあったわけだ。The Baux Strategem は、アイルランド人だがその生まれを隠してベルギー生まれのフランス軍従軍牧師となのってる男を中心に。teague という侮蔑名は、アイルランド人とカトリック教徒を両方指すのが面白い。あとこれ、めずらしい離婚で終わるハッピーエンド劇である。
吉祥菜館で毎度毎度いつもと同じように餃子とかジャガイモ炒めとか。この会もマニアックな方向に突き進みすぎて、もともとシェイクスピア研究者の集まりだという初心を忘れているから出席者が減っているのじゃないか、定期的に時代を戻してベン・ジョンソンとか読んだほうがいいのじゃないか、等々。