京都初日

ヴィクトリア朝研究会@同志社。Tさんの「Jane Eyre と公衆衛生」。このテーマでは Alan Bewell の優れた論文(ELH 1996年)があるので、それを越えるのが難しそうだが、ローウッド・スクールの描かれ方に絞っていくとどうだろうか、など。East Lynne 読書会、口切り役はKさん。例によっててんで勝手な与太話で盛り上がる。この、稚拙といえば稚拙な小説がなぜ当時あれほどうけたのか、というと、やはり Lady Isabel がほんもののレディである―― Lady Audrey's Secret なんてのは、もともとただのガヴァネスで結婚してレディになるだけだが、こっちは生まれながらだ――のと、元妻と現妻との三人で同居、という設定の猥褻さがポイントだろう、といったところに落ち着く。Sさん、「North and South の工場食堂」。工場に食堂を設置して工員に安らぎの場を与える、という小説の終わり近い展開をめぐって。ギャスケルの産業小説では、「集団」mass というのは、暴力革命を起こしかねない不穏なものとして描かれる、というのが通説だが、この食堂のエピソードにはもっと肯定的な集合性、左翼ユートピアの夢みたいなものがたしかにあるような気もする。福利厚生の歴史を追っていくとけっこういけるかも。
百万遍の居酒屋で泥酔。