革命的生物学者

慶應大学三田図書館History of Science とか ISIS をコピー。ここはほぼ全面開架だし、コピーカードはすぐ買えるし、職員は愛想がいいし、快適。もっとも、全面開架と職員の愛想よさ、というのは結局同じことだ。だいたいこうした開放的な図書館は利用者が勝手に使ってしまえるので、職員が意地悪しようとしてもできない。逆に、わたしの職場や中央のように閉架中心の図書館というのは、学部生や学外者に本を使わせる気はないと言ってるようなものだ。……うちの図書館、学外者への評判はどうなんだろう? 今度建て替えてほぼ開架になる予定だけど。

The Politics of Evolution: Morphology, Medicine, and Reform in Radical London (Science and Its Conceptual Foundations series)

The Politics of Evolution: Morphology, Medicine, and Reform in Radical London (Science and Its Conceptual Foundations series)

開くのは何度目かだが、いまだに全貌がつかめない本の一つ。タイトル通り、おもに1830年代、つまり『種の起源』前夜のロンドンの生物学と医学における、守旧派大学人(多くは聖職者でもある)と、進歩派ラディカルの闘争をさまざまな局面から追った大著だが、たぶんわたしがこの本にいまひとつついていけないのは、たとえば『ランセット』誌を根城にしたような進歩派の医師たちを、「革命派」と呼ぶスタンスに違和感がつきまとうからだろう。ロイ・ポーター系の医学史においては、彼らはあくまで「ウィッグ」、つまり自由主義進歩派であって、楽天的に医学の進歩を語りそれを実現しようとした人たちであっても、本気で既存の政治体制を転覆しようとした人たちではない。そもそもこの時期のイギリスのラディカルって、すごく革命革命と騒いだわりにはあっさり体制のなかで落ち着いてしまう人がほとんどで、そこがわかりにくいといえばわかりにくい。フランス史をやってる人からみると、いくらか奇異に映るらしい。ま、団塊の世代と似たようなものだという気もするが……