シガテラ(完)

JACET発表原稿、打ち合わせ、グラフ作りなど。

シガテラ(6)<完> (ヤンマガKCスペシャル)

シガテラ(6)<完> (ヤンマガKCスペシャル)

全六巻一気読み。この作品の三巻、四巻あたりは「日常であなたの隣にも潜む恐怖と暴力」みたいに言われることが多くて、それはその通りなのだが、なにが怖いといったって、そうした恐怖があってもわれわれが平然と幸福になってしまうことが怖い。睡眠薬のエピソードのようにこちらが気づいていない場合は当然だが、気づいている場合でも、たとえば知人が人を殺したとか、変質者にこっちがなぶられかけたとかいう場合でも、せいぜい一回勃たなくなる程度で、それも三十分くらいで回復するわけです。タイトルは「回りに不幸が出るのは自分のせいだ」というメッセージを発しているが、主人公がそれに悩むのも、ガールフレンドを巻きこみやしないかという一点を心配しているだけで、あとの他人はどうでもいいのだ。そんなことより、なくした携帯が見つかるほうが大事だし。そうしたエゴイズムを見つめているからこそ、この本は「希望の書」として読まれるのだろう。
ところで南雲さんというキャラクター、わたしには「こんな女いねえよ」としか思えないのだが、女性が読んでリアリティを感ずるものでしょうか。最近まで十代後半だった女性、ご意見いただければ幸いです。