Shopping in London

Alison Adburgham, Shopping in Style: London from the Restoration to Edwardian Elegance (Thames and Hudson, 1979)。174枚イラスト入り。注もなにもついていなくてすごく読みやすいが、しっかりと学術的でもあって、という良きイギリスの人文書1810年代、作られたばかりの頃のリージェント・ストリートには当初肉屋だのパン屋だのパブだのは出店を許されず、ほかの布地屋なども商売に苦労したらしい。あまり高級志向にしすぎると商売にマイナスもありということでしょうか。ロンドンの乗合馬車網は1829年に整備された、とある。もっと早いような気がしていたが、そんなものだっけ。1880年頃にはかなり地下鉄ができてしまうから、ロンドンの郊外と中心部がおもに乗合馬車でつながっていた時期はあまり長くないことになる。万博(1851年)はその時期だが、ホワイトレーズの開店(1863年)のときには、もうメトロポリタン線がパディントンまでは走っている。
ハーヴェイニコルズ(布地屋として1851年開店)やハロッズ(八百屋として1849年開店)は、百貨店としては後発であって、ブリクストンのボン=マルシェ(1879-1892)やホワイトレーズのずっと後を追っていたようだ。高級化によってハロッズが決定的な地位を築くのは、世紀末になってから、なのだろうか。ティム・デール 『ハロッズ――伝統と栄光の百貨店』 板倉芳明訳(リブロポート、1982)を読んでも、このへんがよくわからない。こういった本の例にもれず、景気のいいことしか書いてないからだ。↓この本も、あくまでホワイトレーズ中心だし。もうちょっと Athlone の Survey of London シリーズをひっくりかえして見えてこないと、やっぱりハロッズの社史がいるか…… 

Shopping for Pleasure: Women in the Making of London's West End

Shopping for Pleasure: Women in the Making of London's West End