酔っていたのでエクスプレスの感想はありません

筑波イギリス文学会。来るたびに変わっている町だが、今回はとくに変化が大きい。回数券が残っていたので高速バスできた。下広岡を通る路線はこれが初めて(最後かも)だが、客は五人。バスで東京とつながっていた、つくばの歴史の「第二期」が終わったということだろう。つくばエクスプレス駅の真上に立派なモールができていて、駅出口側は一面ガラス張りでショーアップされている。一階フードコートは大賑わいだ。ようやっと、完成された(郊外型)地方都市になった感じがするなあ。このモール、横から見るとそこそこ安い感じで(失礼)、それがこの町に見合っている。
末廣幹「アンボンでなにが起こったのか――17世紀イングランド演劇における東インド表象」。『テンペスト』、フレッチャー『島の王女』、ドライデン『アンボン』を扱って、モルッカ諸島、バンダ諸島におけるイングランドとオランダの緊張関係(演劇におけるその前景化と隠蔽)を論じたもの。アンボン虐殺事件(1623)は、オランダ人がイギリス人と日本人を拷問・虐殺した事件としてしばしば言及される。面白いと思ったのは、1665年(第二次英蘭戦争勃発直前)に出た本の挿絵で暴力をふるっているのが、あからさまにムスリムであることだ。オランダとの緊張関係をごまかすために、異教徒の画像が必要とされたのだろうか。
齋藤一「柳瀬尚紀訳『フィネガンズ・ウェイク』におけるアイヌ語地名について」。タイトル通り、興部(おこっぺ)、根室、斜里、羅臼といった地名の出現に必然性がありやなしや、など。"I sohnt zo!" →「宗谷と思った(そうやとおもった)」とかは、さすが柳瀬さんという感じ。Roland McHugh の詳注版によれば、ここにはトリエステのイゾンツォ川 River Isonzo が響いているという。地名と I thought so ということばの絡みを再現するには、日本語でも地名のほうがよいし、多言語状況――アイルランドの地名が英語に聞こえないように、日本語に一見聞こえない日本の地名――を再現するためには、北海道の地名の使用はあまりにも妥当だと思う。"Befor! Bifur" →「野付(のつけ)が!色丹(しこたん!」に関しては、「しこたん」が「四股」として bifurcation=二股を連想させるから、それにすぐ上の行に "hue" という語があるからだ、とあらためて主張しておきます。
飲み会@百香園。かたまり肉酢豚とか。