病人に看護されない看護人は失格だ

「哲学と精神医療のあいだで――ラ・ボルド精神クリニック院長ジャン・ウリ氏を囲んで」@明治駿河台校舎(http://www.filmart.co.jp/practica/page/book_1.htmlを参照)。かなりのハードスケジュールの最終日で、高齢のウリ氏はお疲れっぽい。院内に偶発的な、不意の出会いがありうる場を用意することが重要だ、とか。遅く入って早く出てきたので全体はなんともいえないが、聞いた範囲では十川幸司さんの問題提起が面白かった。曰く、建築環境などで安定した空間を作りだすというのは精神医療の重要な部分で、ラ・ボルドにはそれがあるように見受けられる。しかし安定した空間における安定したアイデンティティというのは、むしろラカンが忌避したものではなかったか。これは、ラカンがおもに神経症を(ときに治療者としてはへぼく)扱い、ウリがおもに慢性統合失調者を扱っていることと関係するのかどうか、etc。