電撃辞任

日本英文学会二日目@日大、研究発表いくつか。とくに中井麻記子「Somerset Maugham の "The Pool" に見るサモア表象」は、当時のサモアの政治状況や、主人公がスコットランド人であることを視野に入れた丁寧な仕事。モームコロニアリズムというのは誰かやってくれないかと思っていたので、ありがたい。べつな発表では、発表者と司会者を「もっとまとめて喋れ! 司会、いいかげんにとめろ! なんだこのビブリオは!」といきなり恫喝する関西弁+℃22のなかでマフラーの方登場。激昂したまま出ていってくれたのでほっとする。
特別講演 Young-Oak Lee、前ELAK(韓国英文学会)会長。会の活動模様の実態とマニフェスト。英語教育の「実用化」のなかで、いかに文学研究が孤立してはならないか、といった問題提起。そのあと異例のことだが学会長の挨拶。学会改革の進行具合についての話の後、一昨日の評議会での議論をうけて「わたしは呆けてきて議論が理解できなくなっているようなので」という辞任表明。最後までこの方らしいみごとな韜晦語りだった。フロアは静まり。その場にいた大部分の人には、予想された挨拶だったのだろうとは思う。なんにしても、こちらは当面できることを続けるだけ。次の会長はご苦労だが、そもそも現会長は今年から勤務先の学部長。そりゃ時間の余裕なんてあるはずがなく、一騒ぎとはべつに、もっと早く辞任していても不思議はなかったと思う。

イギリス文化教科書プロジェクト例会@松原。K先生によるオーウェル『葉蘭をそよがせよ』談義。グレイシー・フィールズの戯れ歌を数曲。Fさんがわざわざ葉蘭を担いでくる。ケント大学カートゥーン&カリカチュアセンターからもってきた、葉蘭 aspidistra のマンガなど。オーウェルの lower upper middle class ステイタスをめぐり一しきり。終わって飲み会、すばらしいディップ、ラタトゥイユ、ポーク、鮭他とワイン。しばし生活高級感と下世話な会話にふける。幸福。ホストに感謝。