おしゃべりな女たち

Fast-Talking Dames

Fast-Talking Dames

30、40年代ハリウッドの「早口で喋る」パワフルな女性像を讃える本。第1部が総論、第3部が『赤ちゃん教育』『新婚道中記』『ニノチカ』『ヒズ・ガール・フライデー』『レディ・イヴ』の作品論で、第2部にはそこから漏れた女優たち(ジーン・ハーロウキャロル・ロンバードジンジャー・ロジャースマーナ・ロイジーン・アーサークローデット・コルベール)が取り上げられている。強いていえばホークスの二本がモデルとして中心にある感じ。『赤ちゃん教育』はダーウィニズムとの関連で論じられている。進化論セックス・コメディといえば英文学ではショーの『人と超人』で、ここからハリウッド・コメディへの系譜図が書けるのかもしれない。

正直、テーマにふさわしく饒舌すぎるくらいで、ここまで厚くなくていいし、理論的・批評的にどうということもないけれど、読んで楽しい。とくに第2部は、これからなにを観るかの参考になる。ロンバードの Nothing Sacred なんてぜひ観たい。アカデミックな研究書というよりスター女優への賛歌、山田宏一『映画的なあまりに映画的な――美女と犯罪』のフェミニスト・コメディ版か。


ところで水曜のヴェルディ戦、観客3267人とか。http://verdyblog.ameblo.jp/entry-18acb8287a1ec3a42f053ac4b3e41885.html 「観客動員」デフレということばが頭に浮かぶ。わたしも長いことヴェルディの試合を生で見ていない。なぜかって? サポーターのいない試合を、わざわざ見に行ってもつまらんからだよ。ニック・ホーンビーも、Fever Pitch のどこかで言っていた。みんなおとなしく座って、どっち側の好プレーにも拍手をするミドルクラスの観客だけだったら、誰もスタジアムになんていかない、と。クラブはサポーターの暴力を怖れるが、それを失うのはもっと怖い。FC東京サポーターはろくでもない事件を起こしつづけているが、彼らを守るクラブの姿勢は、少なくともいまの時点では正しいのだと思う。