高円寺〜荻窪

高円寺で Le Cafe のマスター夫妻とだらだら話す。チーズケーキ美味し。北口の東側にはあまり喫茶店がないので、うまくいけばうまくいくかも。向かいの立ち食いうどん屋――いや、ここも風情ある店だが――が引退して、気の利いた古着屋でもできれば店には万々歳か。

高円寺ルック商店街をふらふら。えほんやばんするるすばんで昭和三十年版岩波少年文庫のヴィーヘルト『くろんぼのペーター』、最近できたばかりらしい Tabasa & Thomas という雑貨屋でTシャツ。そのまま阿佐ヶ谷まで歩き、栗田書店で大蔵省印刷局!発行のディズレイリ伝。ぐぅで食事。阿佐谷北三丁目から荻窪まで、赤茶のレンガ舗装の遊歩道を歩く。狭い道に中央緑地、いまは少なくなった高いコンクリートのブロック塀がくねくねと続く。カーヴを曲がったところに座った猫が、日常的に魔法を使ってよさそうな空間だ。なぜこの道だけがこうなったのか、古い住人に聞いてみたいが、その古い住人もいまや数が多くはないだろう。かつてはもっと狭かった道が、あちこち区画整理で広くなっている。実際道が広げられた北側には新築の家が並ぶ。このへんは消防車が入ってこようにもこられないところが多いから、道を広げる施策に文句は言えない。広く見通しのよい道には、ドライヴウェイの幽霊のように、また別の魔法が必要なのだろう。杉並の住宅街は、狭くどこまでも続く路地のそれに変わる魔法を、まだ見出していない。