古典映画強化日

仙川の駅まわりをぶらぶら歩く。
紅塵 [DVD]
DVD『紅塵』(MGM、ヴィクター・フレミング、1932)。タイトルは「塵」だが、むやみやたらと雨が降る映画で、その雨がすばらしい。サイゴンから船で一週間という奥地のゴム農園の現場監督がクラーク・ゲーブル、むんむん。流れ着いた酒場娘がジーン・ハーロウ、むんむん。この土地に不似合いなミドルクラスの若夫婦(メアリー・アスタージーン・レイモンド)の関係を破壊しそうなヴァンプに見えてそうでない、じつは二人の凡庸な夫婦愛を守る側に立つというのが、ジーン・ハーロウの個性なんだろう。

ビデオ『特急二十世紀』(コロンビア、ハワード・ホークス、1934)。シカゴ発ニューヨーク行きの特急列車に、ブロードウェイの落ち目の「天才」演出家ジョン・バリモアと、彼のかつての教え子で恋人、いまは大女優のキャロル・ロンバードが乗り合わせる。バリモアはなんとか再びコンビを組もうと画策する……。導入部は二人の馴れ初めと破局を描いているが、冴えない。だいたいどんな地味な衣装を着たって、ロンバードは演技のえの字も知らない田舎娘には見えないぞ。列車に乗ってからはもう快速、男のほうは未練たらたらの元カップルだが、男女としてよりを戻そうとするのではなく、ビジネス上の関係が優先されるところがホークス的で、楽しい。気分屋のバリモアにうんざりしながらついていき続ける劇団の製作担当ウォルター・コノリー(でぶ)とロスコー・カーンズ(酔っ払い)のコンビがまた最高。二本続けて観ると、顔といい、肩を張って両腕を大きく広げて歩く動きといい、ハーロウがすごくサイレント女優っぽく、それに対してロンバードが現代的に映る。