IWGP 5

反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク 5 (池袋ウエストゲートパーク (5))
石田衣良『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク5』(文藝春秋 2005)。シリーズ長期化の弊害で、サルやキング・タカシが全能になりすぎ、なんでも電話1本で解決してしまえる雰囲気になってしまっているのが痛いが、中国工場での半強制的過酷労働、集団自殺サイト、スーパーフリー紛いサークルのレイプ、と陰惨なトピックばかりをぎりぎり読者に不快にならない人情話で落とす出し入れの巧みさは、もはや神技の域に達している。猛烈にあざといし、石田衣良本人はうまい小説を書くこと以外になんの関心もないのかもしれないが、それでもこのくらいは話のネタとして利用できないと、当節啓蒙左翼はやってられないだろうとも思う。