グラックの卵

会議、会議。職場の新図書館が開館しました。まあ見てやってくださいな http://www.seikei.ac.jp/university/library/index.html。関係者の皆さん、お疲れさまです。

グラックの卵 (未来の文学)

グラックの卵 (未来の文学)

わりにマイナーな作家が並ぶなかで、いちばんメジャーな名前がヘンリー・カットナーとジョン・スラデック、というあたりで大体雰囲気の見当がつく人にはつくだろう。なんとも懐かしい、ひなびた味の作品が並ぶ。五〇年代SFの、けたたましすぎないバカっぷりに、心を洗われるよう(大仰)。スラデックの中篇というのか、断片の長い集合というのか、「マスタースンと社員たち」(1967)はその中で突出してとんがっている。ジョーゼフ・ヘラーの影響があるそうだが、なるほどサラリーマン版の『キャッチ22』というか、閉鎖された世界に適応して狂気といえば狂気、自然といえば自然な人物たちの群像。いちばんのお勧めはハーヴェイ・ジェイコブズの表題作(1968)、こっちはスラップスティックお色気つき版ブローティガンといった感じ。