レヴィナスを読む

必要に迫られての泥縄。NHKブックスとしてはレベルが高すぎるというか不親切すぎるような気がするが、示唆はいろいろ。レヴィナスは、(たぶん『存在から存在者へ』というタイトルからくる印象のせいで)、主体個人のイマージュのなかですべてが起こるのではなくて、もう少し具体的な他人を想定している、という先入観があるのだが、たぶんそうでなく読めるところもたくさんあるだろう。
「他なるもの」が「他者」へと、実存をもたない外部が人間へと移行するさまについて、こんなふうにある。「『出来事』の最たるものとして、レヴィナスが『死』を挙げている点に注目しなければならない。『死』を介在させることなしには、『他なるもの』から『他者』へと移行することはできないのだ」(144)。このあと、死が「内的限界」である(ハイデガー)か、それを踏み越える外へ向かうか(レヴィナス)が対比されたあとで、結局この対立は維持できないと主張されている(150)。なんのためにこれをここに書き込んでいるのか、いまの時点では自分にもわかりませんが。