英文学会関東支部大会

日本英文学会関東支部英語教育・学習研究会発会式@駒場。参加者90名強。富山太佳夫支部長、斎藤兆史研究会代表の挨拶に続いて、高橋和子「英語教育に向いた文学教材」。ワークシートの作り方がとくに参考になる。いったん辞書を使わずに意味を推測させたあとで辞書を引かせ、両方ワークシートに書き込ませるとか、短編はプロットの切れ目でいくつかの節にあらかじめ分割した上であらすじをまとめさせるとか。
昼休みをはさんで、関東支部第1回大会。170名ほどか。富山支部長挨拶は危機感を交えたきまじめなもの。シンポジウム「いま、語り(ナラティヴ)の面白さを発掘する」。司会・原田範行+池上惠子、末廣幹、海老根宏、松本朗、佐藤光重、中村雄祐。第1回の顔見世興行ということで、時代・ジャンルを横断した企画だが、どうしても問題設定が拡散気味。どうなることかと思ったが、休憩後、ディスカッサント高橋勇がそのルックスの柔和さと対照的な豪腕ぶりをいかんなく発揮、力技でまとめにかかる。意見交換は盛り上がった。細かいところでは、『ダロウェイ夫人』の一人称主体が対象=植民地の影と混ざり合ってしまうという松本朗の精読、また途上国における書きことばの制定の難しさから話をはじめて、タイポグラフィーその他、印刷文化のマテリアル面に注意を喚起するゲスト・中村雄祐の話が印象に残った。これについては id:hspstcl さんが詳しく書いてます。研究発表、斉藤佳代子「Doris Lessing, The Memoir of a Survivorにみる生成過程としての個人」with 中井亜佐子。作品の奇妙な雰囲気が伝わる発表。ニューレフトとの関係をもっと盛り込むとさらによい、というhiropon先生の助言がさすが。
懇親会@ルヴェソンヴェール。Tさんと戦後イギリス演劇と男性同性愛の関係など話す。料理ずいぶん余ってたなあ。開催校のT先生はじめ、とにかく皆さんお疲れさまでした。なんとか滑り出したということで。