大東亜共栄軒

CALL英語、特殊講義、岩波S氏と翻訳書タイトルなどの打ち合わせ。
「大東亜共栄軒」1日目@out lounge 大塚。あと半年でこのスペースも終わりということだが、パフォーマンスには最適の空間だ。参加者50名ほど。イトー・ターリは、ぴったり皮膚に貼りつくグレーの服で登場。身体につけた風船をゆっくり膨らまし、ゆっくり縮めていく。空気を吸うときに発する生々しい息遣いとあいまって、ターリさんの皮膚自体、身体自体が拡張したり収縮したり、ときには乳房や乳児といった身体の一部でありつつ分離したものが立ち上がってくるようにみえる。皮膚と一体化した風船を脱ぎ捨てる身ぶりに続いては、玉葱――佐賀産玉葱のダンボール箱をきしきし引きずって出てきたときは、その音のほうが印象深く、ほんとに中から玉葱がごろごろ出てきたのにはびっくりした――をどんどん剥いていく身ぶり。玉葱はなくなってしまうが、香りと刺激臭だけは残る。従軍慰安婦の絵や写真をバックに流しつつ、ターリさんは、フロアの一人一人に握手をして、表情を柔和な微笑みから般若の面へ、ゆっくりと変えていく。目の前でやられるとマジに怖い。握手を入れるのは初の試みだそうで、匂いといい、小さなスペースをうまく使ったパフォーマンスだった。玉葱を使うのは、ナムルの家のあるハルモニのアイデアだとか。
三木aka陳式森(香港)は、三峡ダムで沈んだ町をモチーフに。冒頭、コウモリ傘に仕込んだ水を搾りとるように床に流してゆくところがとくに印象的。客の顔を次々水槽に突っ込んでいく。指名されないでよかった。水は世界のどこにでもあるもの。パフォーマンス・アーティストは呼ばれればどこにでも行く流れ者だから、水を使わないとね、という声がフロアから。
終わって焼きうどん、玉葱スープなど食べながら交流会。主催の荒井真一氏と十年ぶりに話す。アジア、とくに中国のアーティストのヴィザをとるのにずいぶん苦労しているようで、わたしの職場のプロジェクトと共催すれば少し楽になるかも。そのへんは大学の名に利用価値がある。このプロジェクト、明日以降も続きます。http://www.araiart.jp/daitoua.html