CALL英語。特殊講義、エイズとホモフォビア。頼りは風間孝論文。
Donald R. Benson, "Facts and Constructs: Victorian Humanists and Scientific Theorists on Scientific Knowledge" in James Paradis & Thomas Postlewait eds.,
Victorian Science and Victorian Values: Literary Perspectives (1985)。アーノルド、ハックスリー、
ジェヴォンズ、ピアソン、ウィリアム・カーペンター、バルフォアなどの科学原論を手短に紹介していて便利。彼らのほとんどは、科学が扱うのはあくまで物理的事実であり、それを越えた
人間性の領域はまた別であるというある意味で謙虚な態度をとっていたが、大衆的なイメージ、またそれを引き受けた文学的な物言いにおいては、彼らの多くが科学万能主義であるとまちがって受けとられていた、というのが基本線。晩年のギッシングは、その大衆的なイメージの科学批判を展開しているわけだが、こういうじつにありがちで今でも生き延びている言説というのは、いつ頃にこうしたものが出始めた云々といったかたちで歴史化するのが、ことの他難しい。久しぶりに、嫌いな思想について書くことになるのだろうか。しかし嫌いなものというのは、それこそ歴史化しないと書きようがない。困る。