金井さんちの猫になりたい

やらなくてはいけないことが色々あるが、どれもやる気がしない。そんなときには料理本

待つこと、忘れること?

待つこと、忘れること?

あ、「出汁」に「だし」とルビが振ってある。これは前からどうすりゃいいのかと思ってたところで、どうしてもこの漢字を素直に「だし」とは読めないのだが、かといって平かなにしてしまうと字面に埋もれてしまう。金井美恵子がルビを使ってるんだから、ルビがやっぱりベストなんだ、と確定。
ある日のトラー(猫)の食事。「ミルクにヨーグルトを混ぜて浅型の小バチに入れる。冷凍エビは解凍したものをそのまま少量の熱湯で茹で、冷めてから、尾を除き、カラごと適当な大きさにちぎる。生食用冷凍ホタテは、解凍し、適当な大きさにちぎって、エビと盛りあわせ、好みの銘柄のドライフーズ少量か缶詰めをあしらう」。人間でない動物に味を教えてもらうということが世の中にはあって、たとえば『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』でウサギたちが魅入られたように食べていた生のニンジンは、この世のものとも思えぬくらいおいしそうだった。家のセキセイインコは茹でて細く切ったニンジンが好物で、目をキラキラさせてがつがつ食べる。自分がインコかウサギになった気分でニンジンを口に含むと、たいして好きでもないあの香りが、えもいわれぬ魔性のもののような気がする。というわけでこの本、エビとホタテがお好きでない方にお奨めします。