ストープス

三、四年のレポートを二十本ほど読む。いらいらする。本一冊だけ読んでそれを鵜呑みにして大きなテーマを論ずるという「お子さまのレポート」がわりに多い。こういうのは一年で卒業して欲しいのだが。これを読んでいて未提出の人、早く出してください。

性の革命―マリー・ストープス伝

性の革命―マリー・ストープス伝

原著1992。バースコントロール運動の開拓者の伝記だが、これを読むとストープスが大嫌いになること請け合いである。高圧的で自分勝手で自己顕示欲の塊。1923年に始まる一連の訴訟は、べつにストロープが猥褻罪で訴えられたのではなく、彼女のほうが自分を「貧困者を実験台に使っている」などと批判した相手を、名誉毀損で訴えているのだ。売れもしない自分の伝記を大量に刷らせて(本人はベストセラーになると思っていた)大損したり……。顕花植物を専門とする植物学者が性解放の大立者になったというのは、後のキンゼイ(昆虫学者だった)を連想させる。日本人に興味深いのは、彼女の最初の大恋愛だった東京帝国大学教授藤井との関係(後年はかなりストープスの側のストーカーっぽい)。1907年から1908年にかけての彼女の東京滞在についても詳しく読める。