性科学の医学化

Ivan Crozier, "Becoming a Sexologist: Norman Haire, The 1929 London World League for Sexual Reform Congress, and Organizing Medical Knowledge about Sex in Interwar England" History of Science 29 (2001): 299-329. タイトル通り、性科学を、「医学」としてまっとうなものにして、その主権を握ろうとした「ハーレー・ストリート最初の性医学者」ノーマン・ヘアの奮闘というか暗躍ぶりを、書簡を豊富に引いて描いている。ヘアとハヴロック・エリスの書簡は、(ヘアの出身校である)シドニー大学がもっている。サンガーの手紙は米国議会図書館だし、ドーラ・ラッセルのはアムステルダムだ。よく集めるなあ。10年代、20年代のヘアが、BSSSP(the British Soceity for the Study of Sex Psycholgy) の、いまでいえばゲイ・アクティヴィズム路線からじょじょに距離をとり、ジュリアン・ハックスリーのような名士を会議に引き込み、ペッサリーという避妊手段を推奨してバースコントロールを医師の権力のもとに置き、マリー・ストープスなどの医師でない運動家の影響力を削ごうとした様子がよくわかる。
上京してきた両親とバルタザールカフェで食事。新潟の家を担保に月々数万の金を受け取るという話をもちかけられたらしいが、それって、いまみたいに元気なうちはいいけど、自活できなくなったらどうすんのよ。勘弁してくれ。