no butter and no pastry

会議。文学理論、試験問題を伝える。Walt Disny on the Front Lines から、"Der Feuhrer's Face" と "Donald Gets Deafted" を見て、文学や映画がどのように時代のイデオロギーを超えうるのか、云々。後者はドナルドが兵役に志願する話だが、最初バラ色に見えた軍隊生活は、嫌な身体検査をされるし、軍曹はプルートだし、ひどいもの。いったいこれは戦意高揚の映画なのか、戦争批判の映画なのか、さっぱりわからない。この曖昧さが批評の可能性を生むわけだ。
児童文学ゼミ、リン・メリル『博物学のロマンス』2章+『ドリトル先生のサーカス』(1924)。ドリトル先生のサーカスは、協同組合制で、利益を全員で山分けするシステムをとっている。子どもの頃のわたしに社会主義の原理というものを教えた最初のテクストは、これだったのではなかろうか。話す動物の権利をめぐる物語は、自然と社会主義的問題系とつながっていく。『ドリトル先生の動物園』のネズミ・クラブにも、明らかに労働者階級の互助組織の風情がある。
ゼミ、『お熱いのがお好き』。ジャック・レモンがマラカスを鳴らして「結婚するの!」と浮かれるシーンを中心に。彼が浮かれているのは「結婚」という記号に対してで――"Why would a guy marry a guy?" とトニー・カーティスに聞かれた彼は一言 "Security" と答える――相手が誰かは関係ないのだろう、とか。最初の恋愛って、たいがい恋愛自体に恋するのよね、云々。
卒論ゼミ、Yさんの Marjorie Garber, Vested Interests のピーター・パン論解題+Nさんの Texas Chainsaw Massacre。今期最後のゼミなので、4年生と飲む@土間土間。「ウゴウゴルーガ」の思い出話など。
  博物学のロマンス  ドリトル先生のサーカス (岩波少年文庫 (024)) ドリトル先生の動物園 (岩波少年文庫 (025))  Vested Interests: Cross-dressing and Cultural Anxiety (Penguin social sciences)