The Little House

各種期末試験の準備。献本リスト作り。新しい眼鏡を買う。
   Midnight Mass
ポール・ボウルズ真夜中のミサ (ポール・ボウルズ作品集)』越川芳明編訳(白水社、1994)。原文と翻訳を行ったりきたりしながら。小説はよくこういう読みかたをする。邪道だとは思うが、語学力が足りないんだからしかたがない。タイトルにあげた短編の、ほとんど行動が理解できない、誰ともコミュニケートできないような老婆の異物感がすごい。すばらしい作品が並ぶが、なにか言おうとしてもなにも浮かばない。いわゆるポストコロニアル文学、とくに旅の文学については、たいがいの場合そうだ。好きであることと語ることを見つけ出すことはもちろん一致しない。この感覚を押し進めると、そもそも文学については、余計なことを語るな、過剰な意味づけなんてするな、黙って読め、という、最近では山形浩生がしばしばとるような態度をとることになる。それも正解かもしれない。一昨日の研究会に今後顔を出そうと思っているのは、だから語るべきことがあるかどうか確かめてそれを盗むため、あるいはたぶん、語りかたそのものを盗むためである。