昭和初年の『ユリシーズ』

概論、同性婚の諸問題。e-learning オフィスアワー。書類書き。

昭和初年の『ユリシーズ』

昭和初年の『ユリシーズ』

ご恵贈たまわりました。野口米次郎、土居光知、春山行夫、もちろん伊藤聖や、森田盛平ほか訳の岩波文庫版といった、初期の『ユリシーズ』需要を追ったもの。川口先生らしい、抑えた語り口のダンディズムは変わらない。このええかっこしいが、どうも不肖の弟子としてはいちばん影響をうけたところであるような。
授業の準備にひさびさに松村昌家『水晶宮物語』(1986、ちくま文庫、2001)を読んでいるが、川口、松村両先生とも七十代になって、現役の書き手であるどころか、どうかするとわれわれの世代よりも綿密な仕事をしている。いやはや。わたしは三十年後に、ここまで学問への情熱を持ち続けているだろうか。