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ディズニーとライバルたち―アメリカのカートゥン・メディア史

ディズニーとライバルたち―アメリカのカートゥン・メディア史

ディズニーのサウンドトラック先行方式とか、フライシャーのロトスコープラオウル・バレのフランス流切り紙式アニメなど、テクニックの基本情報がたっぷり読めるのがすごく便利。フライシャー兄弟は、あとから音を入れてもキャラクターの動きが音とあっているように見せかけるために、ポパイのたえまない上下動の動きを導入した、とか。サリヴァン・プロが1915〜1916に「ちび黒サンボ」のアニメーション版「サミー・ジョンシン」を作っていたこと、初期のフェリックスはそのイメージと重なっていたこと、ははじめて知った。
よく知られてることなんだろうが、カンザスシティ出身のディズニー・プロと、アニメの本場であったニューヨークとの緊張関係についてもけっこう詳しい。ワーナーの下請けだったレオン・シュレジンガー・プロは、ワーナー同様すごくケチで、しかしその分うるさいことを言わない自由な雰囲気があったらしい。ディズニー・プロから「シロアリテラス」とばかにされたワーナー・スタジオ内の平屋で、チャック・ジョーンズや初期のテックス・エイヴリーが仕事をしていた様子は、ほんとうに楽しげだ。
去年、戦争中のディズニーの軍事協力作を集めたDVD、Walt Disney Treasures: On the Front Lines が出て、これはすごく面白かった。ドナルド・ダックナチス・ドイツで目覚める Der Feuhrer's Face を始め、三匹の子豚が戦争債マークの煉瓦を積み上げて鉤十字オオカミをやっつける短編とか。日本では出ないんだろうな。Der Feuhrer's Face では、壁のメガネ出っ歯の軍服男の写真に向かって、ドナルドが「ハイル・ヒロヒト!」とやるシーンがあるし……。