大根

会議。元東京創元社社長、戸川安宣氏の探偵小説関係蔵書五万冊が、職場の図書館に寄贈される旨確認される。『推理界』『マンハント』『EQMM』全冊揃いその他。冊数が冊数だから整理して公開されるのはずいぶん先になるが、会議には珍しく明るい話題だ。だったら自分のもまとめてそこにおいてもらおうか、とお考えのコレクターの方、ぜひともご連絡を。
現代思想のパフォーマンス (光文社新書)     セルロイド・クローゼット [DVD]
文学理論、ソシュール。今年の教科書は難波江和英・内田樹現代思想のパフォーマンス』(光文社新書、2004)。児童文学ゼミ、The Story of Doctor Dolittle 序盤、Contemporary Authors のロフティングの項。ゼミ、自分のセジウィック解題文、『セルロイド・クローゼット』。卒論ゼミ、図書館の参考文献コーナー、とくに TCLC (Twentieth Century Literature Criticism)やウェブ情報の案内。
妻の料理は量が多い。もともと写真スタジオの賄いで覚えた料理だから、十人分とかを作るのに慣れている。わたしの一人暮らし料理といちばん違うのは、野菜はあるだけ使いきってしまうという発想だ。昨日、ハマチのカマを買ってきて、大根丸々一本の銀杏切りと煮た。二人家族で丸一本大根を煮たことのある人はご存知だと思うが、アラと煮た大根は、日がたつにつれ味がしみ、といえば聞こえがいいが、くどくなっていく。今日もくどい。食べつづける。なくならない。ベンヤミンは、田舎町でまちがって大量の(思ったより安かった)イチジクを買ってしまい、両ポケットに入れて歩きながらひたすら食べつづけた経験を書いていた。彼は同じ味のイチジクを食べつづけることで、一種の啓示に達したのだった。大根を機械的に口に運びながら、ベンヤミンへの道は遠いと思う。