セキュリティ

秋に出す予定の本の原稿をなんとか終わらせる、あるいは終わったと自分に暗示をかけて出版社に送る。

一昨日書いたセキュリティの件に補足。いま住宅建築では「外と内のせめぎあい」というのが流行のテーマらしい。住むのは家の内側でも、外部の光や風、風景をなるべく取り込みたいという考えだ。わたしの家もそうだが、都市部の狭い住宅では、そうしなければやりきれないということもある。当然窓は大きく、家全体が開放的になり、これはセキュリティ重視の思想とは衝突するようにも見える。しかしじつはまったく逆で、住民にも泥棒にも優しい家だからこそ、監視カメラに代表されるセキュリティ・テクノロジーが要請されるといっていい。ALSOKの新製品が、窓や扉が破られるのをケアするのではなく空間全体をセンサーで管理しようとする(極端な話、窓を開けて出ていっても警備状態が続く)ものであることからもそれがわかる。空間の開放と、セキュリティの上昇は、同時に進行しているのだ。

これを読んで、我が家を建てている建築家の方がどう思うか、と考えると、書かないほうがよい気もしてきたが、まあいいだろう。わたしは公共空間でのセキュリティの上昇に思想的に反発しているが、自分の家(周囲は完全な住宅地で、ほとんど人通りはない)になにも防犯対策をしないと決断するには、小心な小市民でありすぎる。